子供が生まれ、授乳(ミルク)、おむつ交換、寝かしつけ、哺乳瓶の洗浄と消毒、洗濯など、日々の育児に怒涛のように始まる「予防接種」。お住まいの自治体から通知と予診票が届き、枚数と記入する項目の多さに驚いた方も多いかと思います。
「なぜこんなにたくさん打たないといけないの?」
「定期接種と任意接種の違いって何?」
「スケジュール管理もあるし、先々に打つワクチンを知っておきたい」
この記事では、小学生までに受ける予防接種の種類と基礎知識から、年齢別スケジュール、よくある疑問点まで解説します。大切なお子様を感染症から守るためのロードマップとして、ご覧ください。
なぜ予防接種を受ける必要があるのか
予防接種には、大きく分けて「個人を守る効果(個人予防)」と「社会を守る効果(集団免疫)」の2つの目的があります。
①重症化から身を守る(個人予防)
赤ちゃんは、生まれてからしばらくは、母親からの免疫(移行抗体)によって守られています。しかし、この免疫は、生後数ヵ月(生後2〜6ヵ月頃)で、徐々に失われていきます。
免疫が失われた赤ちゃんが感染症にかかると、大人に比べて重症化しやすく、脳炎や肺炎など、後遺症が残ったり、命に関わる状況に陥る危険性があります。予防接種によって、ワクチンを接種しておくことで、体に抗体を作り、かかりにくくする、かかっても軽症で済ませることができます。
②社会全体で感染症の流行を防ぐ(集団免疫)
周囲の多くの人が予防接種を受けて免疫を持つことで、地域社会全体での感染症の流行を抑え、子供たちを守る効果が生まれます。これを、「集団免疫」と呼びます。予防接種は、自分の子供だけでなく、周囲の友達や社会全体を守る、優しさの輪という役割も持っています。

ふむ。まずは目的を知ることが重要じゃな。
「定期接種」と「任意接種」の違い
ワクチンの分類には「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。
「任意=受けなくてもいい」と勘違いされがちですが、医学的な重要性に大きな違いはありません。
| 項目 | 定期接種 | 任意接種 |
| 定義 | 予防接種法に基づき、自治体が接種を推奨しているワクチン | 保護者の希望によって受けるワクチン |
| 費用 | 公費負担 (基本的に無料) ※対象年齢内 | 全額自己負担 (自治体により助成あり) |
| 努力義務 | あり (受けさせるよう努めなければならない) | なし |
| 救済制度 | 予防接種健康被害救済制度 (手厚い制度) | 医薬品副作用被害救済制度 |
| 主なワクチン | ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、四種/五種混合、BCG、麻しん風しん(MR)、水痘、日本脳炎、HPVなど | おたふくかぜ、インフルエンザなど |
任意接種も受けるべき?
任意接種(おたふくかぜなど)も受けることを強く推奨します。例えば「おたふくかぜ」は任意接種ですが、かかると難聴(ムンプス難聴)という、治らない後遺症を残すリスクがあります。自費にはなりますが(1回約5,000〜8,000円)、お子様のリスクや感染時の登園停止による親の仕事を休むリスクを考えると、接種しておく価値は非常に高いと言えます。
※自治体によっては、「おたふくかぜワクチン」に助成金が出る場合もあります。お住まいの市区町村ホームーページにて、ご確認ください。

我が家は、おたふくかぜも、接種したぞ。
メリットとデメリットを、夫婦で確認した上で、結論を出すべし。
予防接種スケジュール
子供の予防接種は生後2ヶ月からスタートします。1歳未満は、毎月のように接種が必要なため、スムーズに進めるために、年齢別スケジュールを確認してください。
- 生後2ヵ月ロタウイルス(1回目)
B型肝炎(1回目)
小児用肺炎球菌(1回目)
五種混合(またはヒブ+四種混合)(1回目) - 生後3ヵ月ロタウイルス(2回目)
B型肝炎(2回目)
小児用肺炎球菌(2回目)
五種混合(2回目) - 生後4ヵ月ロタウイルス(3回目 ※ロタリックスの場合は2回で終了)
小児用肺炎球菌(3回目)
五種混合(3回目) - 生後5ヵ月
〜8ヵ月BCG(ハンコ注射・1回)
B型肝炎(3回目 ※2回目から139日以上あける) - 1歳ちょうど麻しん風しん(MR)混合(1期)
水痘(水疱瘡・1回目)
おたふくかぜ(任意・1回目)小児用肺炎球菌(追加接種) - 1歳2ヶ月
〜1歳6ヶ月頃五種混合(追加接種)
水痘(2回目 ※1回目から6〜12ヶ月後) - 3歳日本脳炎(1期・1回目&2回目:2〜4週間あけて)
- 4歳日本脳炎(1期追加 ※2回目から1年後)
- 5歳〜6歳麻しん風しん(MR)混合(2期)
おたふくかぜ(任意・2回目)※小学校入学前年の4月1日〜3月31日に接種
- 9歳
〜13歳未満日本脳炎(2期・1回) - 11歳
〜13歳未満二種混合(DT:ジフテリア・破傷風)

多いな。
だが、我が子を守るためだ。

母よ。そして我が子よ。
共にこのハードなスケジュールを乗り越えようぞ。
4. ワクチンの種類と解説
各ワクチンがどんな病気を予防するものなのか、詳しく解説します。
① ロタウイルス(定期・経口)
- 予防する病気
ロタウイルス胃腸炎 - 特徴
飲むタイプの生ワクチンです。激しい下痢や嘔吐を引き起こし、脱水症状で入院することもある急性胃腸炎を防ぎます。
② 五種混合(5種混合) / 四種混合+ヒブ(定期・注射)
- 予防する病気
ジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオ、ヒブ(インフルエンザ菌b型) - 特徴
近年導入された「五種混合」は、従来の四種混合とヒブワクチンが1つになったものです。注射の回数が減り、赤ちゃんの負担が軽減されました。
③ 小児用肺炎球菌(定期・注射)
- 予防する病気
小児の重症肺炎球菌感染症(細菌性髄膜炎、菌血症、肺炎など) - 特徴
細菌性髄膜炎などの重篤な後遺症が残る病気から赤ちゃんを守るための最重要ワクチンのひとつです。
④ B型肝炎(定期・注射)
- 予防する病気
B型肝炎(将来の慢性肝炎、肝硬変、肝がん) - 特徴
母子感染だけでなく、体液や唾液を介した日常接触での感染を防ぎます。
⑤ BCG(定期・ハンコ注射)
- 予防する病気
結核(結核性髄膜炎など) - 特徴
上腕にスタンプのように押し当てる特殊な注射です。生後5〜8ヶ月までに受けるのが推奨されています。
⑥ 麻しん風しん混合(MR)(定期・注射)
- 予防する病気
麻しん(はしか)、風しん - 特徴
感染力が極めて強い「はしか」と、妊娠中の女性に感染すると危険な「風しん」を防ぎます。1歳と年長さんの計2回受けます。
⑦ 水痘(水疱瘡)(定期・注射)
- 予防する病気
水疱瘡(みずぼうそう) - 特徴
発疹や発熱を伴う水疱瘡を防ぎます。2回接種することで強い免疫がつきます。
⑧ 日本脳炎(定期・注射)
- 予防する病気
日本脳炎(蚊が媒介する脳炎) - 特徴
感染すると高確率で死亡したり後遺症が残ったりする危険な病気です。
⑨ おたふくかぜ(任意・注射)
- 予防する病気
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) - 特徴
耳の下が腫れる病気。難聴などの合併症を防ぐため、任意ですが接種が推奨されます。
5. 予防接種をスムーズに乗り切る!事前準備を万全に!
予防接種の当日は、受付で書類を書いたり、泣く赤ちゃんをあやしたりと大忙しです。事前に準備を整えておくことで、ストレスを大幅に軽減できます。
【当日持参リスト】
- 母子健康手帳
- 予診票(事前に記入しておきましょう)
- 健康保険証・乳幼児医療費受給者証
- 診察券
- 替えのおむつ・おしりふき
- 授乳用品または飲み物
- お気に入りのおもちゃ(音が出ないもの)
【子育てママ・パパに絶賛されている便利アイテム】
予防接種の通院をラクにしてくれる、実用的なおすすめグッズをご紹介します。
1. 母子手帳ケース(ジャバラタイプ)
予防接種の時期は、予診票、診察券、保険証、受給者証などカードや紙類が一気に増えます。ジャバラ式の母子手帳ケースなら、抱っこしたままでも片手でサッと開閉でき、必要なものをすぐ取り出せるので病院の受付で焦りません。
2. 前開き・スナップボタン式のベビー服
注射の際、腕や太ももを出す必要があります。上下がつながったロンパースよりも、前開きタイプやボタンで裾が大きく開く服を着せていくと、脱ぎ着がスムーズで赤ちゃんを待たせません。
3. 非接触型・予測式体温計
予防接種の前には必ず家で検温が必要です。じっとしていられない赤ちゃんには、1〜2秒で測れる非接触体温計や、脇下で15秒で測れる予測式体温計があると、朝の忙しい時間の検温ストレスがゼロになります。
4. 抱っこ紐(脱着が簡単なもの)
注射が終わった後は赤ちゃんが大泣きすることがほとんどです。すぐに抱っこして安心させてあげられるよう、装着が簡単な抱っこ紐で病院に行くのが鉄則です。
6. 注射後に熱が出たら?副反応と対処法
予防接種の後に発熱や腫れが起こるとパニックになりがちですが、多くは「体が免疫を作っている正常な反応(副反応)」です。
よくある副反応と経過
- 発熱(37.5℃〜38.5℃程度)
接種後24時間以内に出現し、1〜2日で下がることが多いです。 - 局所の腫れ・赤み・しこり
注射した部位が赤く腫れたり固くなったりします。数日から1週間程度で自然に消えます。 - 機嫌が悪い・ぐずる
一時的な体調の変化によるものです。
自宅での正しい対処法
- 水分補給をこまめに行う
授乳や白湯、赤ちゃん用麦茶などで水分を補給します。 - 服で体温調節をする
熱の上がり始めで寒そうにしている(手足が冷たい)ときは温め、熱が上がりきって汗をかいている(手足が温かい)ときは服を1枚減らして涼しくします。 - 冷やす場合の注意点
赤ちゃんが嫌がらなければ、脇の下や太ももの付け根を冷やします。
※市販の冷却シートを顔近くに貼ると息苦しさの原因になるため、背中や服の上から使用するか、保冷剤をタオルで包んで当てましょう。
すぐに病院(救急)を受診すべき症状
以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 38.5℃以上の高熱が2日以上続く
- ぐったりして顔色が悪い、呼びかけに応じない
- けいかん(ひつけん・ヒステリーのようなひきつけ)を起こした
- 授乳や水分をまったく受け付けず、おしっこが出ない
- 全身にじんましんが出ている(アナフィラキシーの可能性)
(余談)我が家は副反応で夜間救急にお世話になりました。
焦りましたね。急激に40度近くまで熱が上がりました。しかも、AM2:00に。
初めての夜間救急に行くにあたり、病院を探し、電話することから始めました。ここ、地味に時間がかかりました。
結果、何事もなく、無事だったのですが、本当に焦った。

万が一のことを考えて、夜間救急の受け入れをしている病院を、
事前にピックアップしておくと、安心だぞ。
7. 予防接種に関するよくある質問10選(FAQ)
保護者の方から寄せられる代表的な疑問に一問一答形式でお答えします。
Q1. なぜ複数同時に打つ「同時接種」をするのですか?危険ではありませんか?
A. 同時接種は安全性が確立されており、世界中で標準的に行われています。同時接種をする最大の理由は「必要な免疫を早くつけて赤ちゃんを病気から守るため」です。また、通院回数を減らし、保護者の負担を軽減するメリットもあります。
Q2. 風邪気味で鼻水が出ていますが、予防接種は受けられますか?
A. 熱がなく(37.5℃未満)、本人が元気で食欲があれば接種可能な場合が多いです。ただし、最終的な判断は当日の医師の診察によります。受診時に医師へご相談ください。
Q3. 予防接種のスケジュールがずれてしまいました。最初からやり直しですか?
A. 最初からやり直す必要はありません。接種間隔が空いてしまっても、前回の続きから接種を再開できます。自己判断で諦めず、かかりつけの小児科医に相談してスケジュールの組み直しをしてもらいましょう。
Q4. 予防接種の当日はお風呂に入っても大丈夫ですか?
A. 熱がなく、機嫌が良ければ入浴しても問題ありません。ただし、注射した部位をゴシゴシ強くこするのは避け、サッと洗う程度にしましょう。
Q5. 卵アレルギーがありますが、ワクチンを打っても大丈夫ですか?
A. ほとんどのワクチンは卵アレルギーがあっても安全に接種できます。インフルエンザワクチンなど一部製造過程で鶏卵を使用するものもありますが、極めて微量のため重症アレルギーでなければ問題ないことが大半です。必ず事前に医師へ伝えてください。
Q6. 予防接種の費用はどれくらいかかりますか?
A. 定期接種は対象年齢内であれば「無料(全額公費負担)」です。任意接種(おたふくかぜ、インフルエンザなど)は全額自己負担となり、おたふくかぜで1回約4,000〜8,000円、インフルエンザで1回約3,000〜5,000円程度が相場です。
Q7. 予防接種前後の授乳タイミングはどうすればいいですか?
A. ロタウイルスワクチン(経口)の場合、直前に授乳すると吐き出してしまう可能性があるため、接種前30分〜1時間は授乳を控えるのが一般的です。その他の注射型ワクチンは直前・直後の授乳でも問題ありません。
Q8. BC Gの後に膿(うみ)が出てきました。大丈夫ですか?
A. 接種後3〜4週間頃に針の跡が赤く腫れ、一部に膿を持つことがありますが、これは正常な免疫反応です。潰さずに清潔を保っていれば数ヶ月で自然に治ります。ただし、接種後1〜2週間以内の早い段階で激しく腫れて膿んだ場合は「コッホ現象(すでに結核に感染していた可能性)」の疑いがあるため、すぐに病院へ連絡してください。
Q9. 早産(未熟児)で生まれた子も、修正月齢ではなく生まれた日でスケジュールを組むの?
A. 原則として、早産で生まれた赤ちゃんも「生まれた日(出生日)」を基準としてスケジュールを組みます。免疫の発達は出生後の月齢に従うためです。ただし、体調や体重によって医師が調整する場合もあります。
Q10. 予防接種の予約が取れません。どうすればいいですか?
A. 小児科によっては「予防接種専用の時間枠(感染症の患者と接触しない時間帯)」を設けているところが多いです。人気のある小児科は1ヶ月前からの予約が必要なこともあるため、生後1ヶ月健診が終わったタイミングで、かかりつけ医の予約システムを確認しておきましょう。
8. まとめ:スケジュール調整と管理、頑張って!
子供の予防接種は種類も回数も多く、管理するのが本当に大変です。
「次のワクチンは何だっけ?」 「いつから予約できるの?」
と頭を悩ませないために、先々の見通しをこの記事で確認し、カレンダーやスケジュールアプリで管理をしてください。
少し大変な時期もありますが、便利グッズやアプリをフル活用して、無理なく進めていきましょう!

我が家は、予防接種を忘れないために、
アプリではなく、壁掛けカレンダーを買って記入する、昔ながらの手法を採用したぞ。
今でも、絶賛活躍中だ。

